理事長所信

 子どもの頃、世の中はとても広く自分の知らないことで溢れていた。誰もが多くの人から助けられ、様々なことを教わりながら成⾧してきたのではないだろうか。できないことができるようになる達成感や、新たなことを知る喜びを感じていたことを覚えている。
 成⾧するにつれて目に映る世界が広がっていき、その広がった世界でさらに多くの事を学んできた。育ってきた環境は人それぞれ違うが、ほとんどの人はそのような段階を経て成⾧してきたのではないだろうか。
 やがて大人になると様々な知識や経験を得て自分の意志を持ち、ある程度の事は自分で選択できるようになった。そして自分の目に見えるものを世の中と捉え、自分の可能性を無意識に狭めてしまっているのだと気づいた頃には、目の前にある問題を解決することに精一杯となっていた。
 急速に進んだ情報化社会の中で多くの情報にさらされて、正しい選択は何なのかと懸命にもがいていないだろうか。目に見えるものの中から正しい選択をすることこそが、より良い未来へ続くのだと信じていないだろうか。子どもの頃のようにとはいかないかもしれないが、目の前に見えているものが全てではないと捉え、知らないことに挑戦し前へ進んでいこう。そうすれば新たな世界が広がり、さらなる成⾧へとつながるだろう。その挑戦する姿こそが周りに刺激を与え、新たな成⾧の輪が広がり、より良い未来へつながる一歩となるだろう。

 2003年に政府主導で観光地に団体客を誘致し始めたのがインバウンドの始まりとされており、2006年には観光立国推進基本法が制定され我が国のインバウンド推進への本格的な取り組みが始まりました。そして2023年には観光立国推進基本計画が閣議決定され、持続可能な形での観光立国の復活を目標に掲げています。コロナウイルス感染症の影響で少し陰りはありますが、それでも多くの外国人観光客が日本を訪れ、このまちでもよく見かけるようになりました。我々が住み暮らすこのまちに魅力を感じていただいているからこそ、足を運んでいただけるのではないでしょうか。
 我々が普段の生活の中で何気なく見ているものや触れているものは当たり前の日常として存在しています。歴史に焦点を当ててみると、小早川隆景公が残した高山城や新高山城、三原城のほか、沼田川近辺にはゆかりの遺跡や古墳が多く残っています。また、豊臣秀吉公が朝鮮出兵の際、三原城に滞在したときに参拝された御調八幡宮には国の重要文化財が保存されており、この三原にはその他にも歴史的に重要なものが多く存在します。この地に刻まれてきた歴史とその中で生まれた魅力をしっかりと把握し、市民の皆様や市外、県外の人へと発信していくことで、より多くの人にまちの魅力を知っていただくことができます。我々がまちの魅力と向き合い、考え、発信していくことで三原が多くの人に愛されるまちとなるよう活動してまいります。

 人は一人では生きていくことはできません。我々は多くの人に支えられた社会の中でそれぞれの役割を担い、責任を果たしていくことで生きていけるのではないでしょうか。まちの人口減少や担い手不足はその社会規模を縮小させてしまう要因の一つであると考えられます。それは組織においても同じことが言えるのではないでしょうか。近年、三原青年会議所の会員数は減少傾向にあり、活動規模の縮小が懸念されてきています。
 三原青年会議所は様々な業種で活躍している仲間が集い、お互いの強みを活かしながらこの三原がより良いまちとなるよう共に助け合い、成⾧しながら活動しており、これまでの活動の中でまちの課題解決に向けた事業を展開してまいりました。これからもより良いまちを目指してこれまで以上の活動を展開していくためには、今より多くの同志の力が必要です。我々が住み暮らすこのまちをさらに魅力的なまちにし、次世代へつなげていくことこそが我々の責任であり、使命であるととらえ、同じ志を持つ仲間を増やしてまいります。

 我々は仕事や地域など様々な社会に属しながら活動しています。その活動を通して今以上に社会に対して貢献できる人材となっていくためには、指導力の開発が不可欠です。 ここ数年で急速に多くの物事の電子化が進み、社会や産業だけでなく組織運営や働き方にも大きな変化が出てきています。今まで積み上げてきた知識や経験だけでは、この流れに乗って前へ進むには十分とは言えなくなってきているのではないでしょうか。日々変わりゆく社会に速やかに適応し指導力を発揮するためには、様々な状況を見据えて新たな能力開発を行っていく必要があります。
 まずは我々がこの社会の流れに乗り遅れることなく対応できる人材となることが重要であると捉え、より大きな活動を展開するために必要な知識の向上に努めてまいります。そして変わりゆく社会へ適応し指導力を発揮できる人材となるために、組織運営や社業にも活かすことのできる研修を実施することで、三原青年会議所ビジョンにある「可能性を紡ぎまちづくりの火種」となり能動的に活動できる、魅力溢れる人材となると確信し、研修を推し進めてまいります。

 昨年から新型コロナウイルス感染症が5類に分類されたことにより、様々な交流が集会にて実施されるようになってきました。各種大会や地域の祭りなどは多くの人々で賑わい、以前のような活気を取り戻しつつあります。三原青年会議所もOB・現役新年懇親会や友好JCとの交流事業、会員交流事業も実施することができました。昨年からの流れをさらに加速させて活気あふれる交流の場を創出するためには、その時々に応じて多くの人が参加できる形で交流する機会を設けることが重要です。そしてその交流の中にこそ、新たな出会いや成⾧のきっかけが存在するのではないでしょうか。
 我々がこれからも成⾧し、発展していくためには常識にとらわれない柔軟な考えを持って交流する機会を創出する必要があります。誰もが参加しやすい交流の機会を設けることが今後の活動の輪を広げ、そこで生まれた出会いや成⾧が魅力溢れるまちへとつながっていくと確信し、慣例的ではない新たな手法に挑戦してまいります。

 今年の広島ブロックゴルフ大会は三原青年会議所が主管、竹原青年会議所が副主管として実施されます。ゴルフ大会としてはこれまでにない取組みとなり、三原青年会議所らしさと竹原青年会議所らしさを十分に発揮することができれば、必ず素晴らしい大会となることと確信しております。
 そのためにはお互いの強みを出し合い、十分に協議を重ねて事業構築していく必要があります。とても貴重な他LOMと共同事業を構築する機会を最大限に活かして、持続可能なブロックゴルフ大会の第一歩となるよう取り組んでまいります。

 今年で三原やっさ祭りは第49回を迎えます。これまで自然災害や新型コロナウイルス感染症など、大きな壁を乗り越えて途絶えることなく続いてきたのは、ひとえに諸先輩方のたゆまぬ努力と市民の皆様の多大なるご協力の賜物であり、感謝が尽きません。来年で50周年という大きな節目を迎える前年度として盛大に開催することで機運を高めていく必要があります。今一度三原やっさ祭りの歴史を振り返り、伝統を重んじつつも今に合わせた変化も取り入れることで持続可能な祭りとしてこれから先へと受け継いでいけるのではないでしょうか。
 今年の三原やっさ祭りは開催場所の選定や夏の暑さへの対策、運営費等の様々な問題を一つずつ解決しながら、会員一同で踊りや花火大会の事前準備を始め当日の運営の補助等、全力でサポートし多くの市民に愛される祭りとなるよう邁進してまいります。

 近年は全国各地で自然災害が多発しており、多くの人たちが多大なる被害に見舞われています。我々が住み暮らす三原も平成30年に豪雨災害に見舞われ、甚大な被害を受けました。その時に助けていただいた多くの方への感謝の心を忘れることなく、困っている人へ手を差し伸べて受けた恩を返していきたいと思います。
 また、これから先の未来で同じような災害を少しでも減らすことができるよう環境への配慮や資源の有効利用など、我々が今できることを率先して行動してまいります。1962年の創立から今に至るまでに三原青年会議所を支えていただいた諸先輩方や携わっていただいた多くの人たちの想いを紡ぎ、明るい豊かな社会の実現を目指して活動してまいります。これからもどうぞご支援賜りますようお願い申し上げます。