理事長所信

【はじめに】
 限られた時間の中でどれだけのことができるのだろう。こう考えたときに幼い頃に学校の先生に教わったことを思い出した。「どんな国でもどんなに生活環境が違っても、唯一みんなに平等にあるものは時間である。」この時間をどう使うかは自分次第である。当時はこの教えを理解するのは難しかったが、今は身をもって実感している。
 日本では生産年齢人口の減少における労働力不足や環境・エネルギー問題など様々な課題に直面している。それらを補うようにITは加速度的に進歩し、企業はDXを進めAIの進化など高効率を追求している。先端技術が私たちの生活に浸透し、より便利になってきた。三原市においては昨年の市長選挙により新たなまちのリーダーのもと地域の課題解決の歩みを更に進めることになった。着実にまちは変化を遂げようとしている。
 では私たちがまちに対して何ができるのか、私たちはこの限られた時間をどのように使うか、今一度しっかり考え仲間とともに行動を起こさなければならない。時代も、世界も刻一刻と変化している。
 私たち自身の手で日々の小さな変化を起こし運動の輪を築き上げ、より良いまちを未来へつないでいこう。

【共感を広げる情報発信】
 情報発信の電子化が一般的となっている現代では、情報は与えられるものではなく、欲しい情報を自ら求めに行くのが当たり前になっています。この状況において、私たちの活動を広く発信するためには、戦略的な情報発信が不可欠です。近年、WebやSNSを活用して広報活動に力を注いできましたが、さらなる成長の可能性があります。私たちは、電子媒体を活用した広報の重要性と可能性を学び、市民の皆様に共感を得られる方法を考えなければなりません。
 このまちには、自然、歴史、文化など、多くの誇れるものがあります。それらを市内外に広く発信することで、地域を盛り上げるきっかけを作ることができると考えています。私たちの日々の活動やまちの魅力を広報活動を通じて発信し、共感の輪を広げることで、このまちの発展に寄与することを確信し、活動を展開してまいります。

【結束を強め、未来を創る】
 三原青年会議所会員数は年々減少を続け期首においては16名でのスタートです。近年では少人数であることの良さを生かし結束力を高め活動を進めてまいりました。しかし、私たちが目指す「明るい豊かな社会の実現」のためには今こそ会員減少に歯止めをかけより多くのメンバーを増やし運動を拡大する必要があると考えます。なぜ会員拡大が必要なのか、このままではどうなってしまうのか。会員全員で現状を理解し、拡大意識の向上と勧誘技術の習得などの対応をしていかなければなりません。このまちにはまだまだ明るい未来への志を秘めた青年がいるはずです。交流の機会や会員拡大活動を通じ「より良いまちにしたい」この想いをしっかり伝え夢を語り合うことで、入会候補者一人ひとりの意識が変われば、組織は変わり地域は変わります。会員が一枚岩となり情熱をもって会員拡大活動に取り組むことで10名の会員増を目指します。

【己を律し鍛える】
 公益社団法人 日本青年会議所が定める2020年代運動指針では、JCに求められる行動として次のようなことが挙げられています。「それぞれの地域に根ざし、伝統や文化、習慣を大切にしながらも、世界的に通用する技術や知識、時代に必要とされる能力や精神性を兼ね備えたリーダーを生み出す必要がある。また、ダイバーシティ(多様性)を高め、人々のアイデンティティを確立することで、私たちが率先して主権者意識を醸成し、地域にインパクトを与える。」これを実践し、まちをより良くするために、私たちは会員として必要な理念を学び、新たな技術や情報を得ることで、個々がより力強く活動を推し進めることができるのです。

【次世代と描く理想のまち】
 三原内港再整備をはじめとする中心市街地の活性化は、今後さらに具体化し、現実のものとなろうとしています。1975年には山陽新幹線が三原駅に乗り入れ、1993年には広島空港が開業しました。これらの交通インフラの整備により、生活は一層便利になり、まちの価値も高まったと言えるでしょう。しかし、本当のまちの価値はどこにあり、私たちは何を追い求めるべきなのでしょうか。この変化を好機ととらえ、私たちは次世代を担う若者たちとともに、まちの理想のカタチを考えていきます。自らの力でまちを考え、まちを創ることが重要です。このまちに住み暮らす当事者として、未来を若者とともに考えることで、愛するまちにより近づいていけると確信しています。そして、その理想のカタチが実現したとき、若者たちがまちに抱く感情は、単なる愛着を超えたものになると信じています。

【ビジョンの検証】
 2020年に三原青年会議所のビジョン「Connect Possibilities~可能性を紡ぎ、まちづくりの火種となる」が、私たちの目指す理想のまちに向けた活動の指針として策定されました。それから4年が経過し、私たちの活動がどれだけの成果を上げ、運動としてどのように変容したのか、今一度見つめ直し、検証したいと思います。また、日々変化する社会情勢を見据え、まちや私たちの新たな目指す方向性を見出すことができれば、さらに力強く運動を推し進めることができると確信しています。

【伝統を未来へつなぐ挑戦】
 1976年に始まった三原やっさ祭りの設立趣旨は、「市民総参加による心の触れ合いの場づくり」を目指すものでした。若者が運営の中心となり、市の一大観光資源として、現在でもその文化は年々受け継がれています。私たちが主体となり、実行委員を輩出してきたこの祭りが、今年で50回という大きな節目を迎えることに、深く感謝しています。この節目を機に、「三原やっさ祭りが市民にもたらすもの」や「持続可能な祭りとは何か」を考え、近代の祭りの在り方や成功事例を学び、それを実行に移していきたいと考えています。そうすることで、未来へとつながるきっかけを作り、参加するすべての人が笑顔になれる素晴らしい祭りとなるよう、精一杯活動してまいります。

【終わりに】
 多くの大人が、「子どもの頃は時間が長く感じられたのに、大人になると時間があっという間に過ぎてしまう」とよく言います。その理由として、たとえば7歳と70歳を比較すると、7歳児にとっての1年は生涯の7分の1に相当しますが、70歳にとっての1年は生きてきた年数のわずか70分の1に過ぎません。この比率の違いが、心理学的に時間の感じ方に影響を与えているという説が一般的です。さらに、子どもは日々新しい体験をし、その多くがフレッシュな脳に鮮明に記憶されます。しかし、大人になると、過去と似た体験を繰り返すことが多く、脳の海馬はその都度記憶を保存しないため、気がつけば1年があっという間に過ぎ去ってしまったと感じることが多いのです。私自身も、これまでにたくさんの新しい経験をしてきたからこそ、多くの記憶が蘇ってきます。
 私たちは、青年という限られた時間を有意義に使い、活動経験を築き上げることで、誰の記憶にも残るような運動を起こし、それがより良い未来へとつながると確信しています。
 最後になりますが、先輩諸兄姉から脈々と受け継がれてきた歴史の上に今があることに、深い敬意と感謝を申し上げます。そして、この1年間、高い志を持って一般社団法人 三原青年会議所の未来を切り開くために邁進してまいります。先輩諸兄姉ならびに会員の皆様の温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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