2022年度 一般社団法人 三原青年会議所 理事長所信
窮理実践
~時代の先駆者となれ~
第61代理事長 北田 佳嗣
【はじめに】
昨今、世界各国で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症。私たち青年会議所も近年の運動・活動が少なからず制限され、そのためにこれまでとは違った組織の在り方を考えさせられる年となりました。そうした2年間を踏まえ、今、私たちが出来ることはJC宣言文にも記されている『希望をもたらす変革の起点』である団体であり続け、地域社会の課題を率先して解決し、持続可能な地域を創造していかなければなりません。
青年会議所の基本理念は「明るい豊かな社会の実現」に向けて活動していますが、この明るい豊かな社会の実現とは、この地域に住み暮らす人々が「このまちで暮らしてよかった」と実感出来ることであると私は考えます。その地域の人達が互いに認め合い、ともに支え合っていくことで絆が生まれ、その結果、笑顔が溢れるまちを創造することが出来ると考えます。私たちはこの地域で生まれ育ち、仕事を営み、子どもを育てる者として、このまちに対する責任を果たさなければなりません。今、地域の責任世代である私たちが率先して明るい豊かな社会の実現に向けて行動することが必要です。
その中で、私たちが2020年に策定した7つ目の三原青年会議所ビジョン『Connect Possibilities 可能性を紡ぎまちづくりの火種となる』は2年目を迎え、ビジョンの中に示されている3つのジャンル「愛されるまち」「愛されるひと」「愛される私たち」を行動指針として、私たちが如何に探究し、実践していくことで私たちが住み暮らすこのまちへ、大きなインパクトを与えることができると確信しています。
私たち青年は能動的に行動する実践者でなければなりません。私が青年会議所活動の中で心掛けている漢語の言葉に「窮理」という言葉があります。この言葉は禅僧であった、道元が執筆した『正法眼蔵』に登場する「究理坐禅してみるべし」からとられた言葉であり、現代では「物事の道理、法則をきわめること」という意味で使われています。これは困難な課題に対し、出来ない理由を並べて行動することを避けるのではなく、果敢に挑戦し、出来る方法を見つけ出すこと、つまり、物事を突き詰め、究めるという志が自身の成長に繋がり、挑戦し続けることで新たな考え方が生まれ、まちの課題が解決することもあります。物事の道理、法則を究め、実践していく「窮理実践」の志を持って、2022年度の一般社団法人三原青年会議所の運動を展開してまいります。
【青年会議所の魅力をまちへ、ひとへ。愛される私たちに向けて】
青年会議所会員は入会後、学びや成長の機会を多く与えられ、会員研修事業やまちづくり事業を参画していき、これまでにない経験や体験を通じて自らを研鑽します。
私たちは様々な縁があってこの三原青年会議所に集っています。会員の入会動機は様々であり、私自身もまちづくりをしたい、といった思いではなく、人脈を広げたい一心で青年会議所の門を叩きました。その中で感じた青年会議所の最大の魅力は「ひと」との出会いにあります。志を同じくする仲間との出会い、尊敬・憧れの存在との出会い。立場が違う中での『まちづくり』に対する同じ目的を持った仲間との出会い。様々なひと」と出会い、時に損得などの感情を差し入れる必要のない終生の友を得ることが出来る。これこそが青年会議所の核心であると考えます。
青年会議所は自分自身を磨くことが出来るトレーニングの場です。青年会議所活動を通じて、会員それぞれが成長することにより、まちに大きな影響を与えることが出来るものと私は考えます。そのためにも私たちが地域社会の課題を率先して洗い出し、解決していける人財になる必要があります。そのためには、青年経済人として組織のマネジメント等の先進事例を学び、それを地域社会の課題解決に応用し、役立てていくことが重要であると考えます。青年会議所で自分自身を磨き、家庭へ、会社へ、まちへ、活かしていくことで明るい豊かな社会の実現に繋がると確信します。
また、我々の同志を増やす会員の拡大は喫緊の課題です。三原青年会議所の2022年度スタートの会員数は25名で、青年会議所の魅力を発信していくには今以上にマンパワーが必要不可欠です。全国的にも青年会議所の会員減少が課題になっている中、その中でも会員が増加している青年会議所は存在しています。青年会議所に入会すると、自身のスキルアップは勿論のこと、新たな出会いも増え、会員相互で多くの人脈を築くことができます。その為にも会員一人ひとりが会員拡大について意識を持ち続けることが重要です。
これからの会員拡大を実践していくには多くの成功事例を参考に今までの経験を活かし、幅広い方を対象とし、組織として「いつ、誰が、誰に、どのように接してしていくのか」しっかりと拡大戦略を立て、取り組むことで入会候補者が会員となり、三原青年会議所がより魅力溢れる団体へと進化を遂げることが出来ます。
これらを取り組んでいくことで、全会員が成長出来る機会のある団体として魅力を最大限輝かせ、常に学びの環境を提供出来る団体であることを念頭に、三原青年会議所に関わる全て人たちのために、会員個々が一つでも多くを学び、一歩でも成長できる一年にします。
【愛されるまち、愛されるひと。想いを繋げ、伝えていくまちづくりへ】
近年、新型コロナウイルス感染症や平成30年豪雨災害など、身の回りの環境が大きく変わる出来事が頻発しています。この環境の変化は普段当たり前であったことが当たり前ではないということを知るきっかけとなり、自分自身は勿論のこと、会社での職場環境や家庭などの生活環境について考えさせられることが多くなりました。そのような環境下であるからこそ、私たちの存在意義が問われてきます。まちへ希望をもたらす存在となり、あらゆる環境の変化に対するまちへの適応する能力を高めていくことも必要不可欠です。
私たちは何をやるかではなく、誰のためにやるのかを追求しなければならないまちづくり団体です。誰かが困ってそうだから、やった方が良さそうだからと漠然としたものではなく、身近な誰かを笑顔にすることがまちづくりの最初の大切な一歩だと考えます。三原のまちが魅力的であり続けていくには、三原の未来を担う子どもたちに明るい未来や笑顔を伝えていかなければならないと考えます。そのためには私たちの周りや地域から課題を洗い出し、自分たちのまちを自らの手で良くしていける運動に取り組み、多くの人へ伝播することで笑顔の輪が広がるまちを創造します。
近年の情報化社会は、今や欲しい情報は自分たちで掴みにいく時代です。三原青年会議所の広報媒体も「やっさもっさ新聞」を始め、時代の変化に合わせて発信し続けています。しかしながら、私たちの運動、そして活動はどれだけの市民に伝わっているでしょうか。どれだけ多くの市民を巻き込み、まちに変化をもたらしているのでしょうか。結果は直ぐに出るものではありませんが「誰のために」「何のために」という原点に立ち返り、受け手にとってより効果的に伝えていくためにも既存の情報発信ツールを十分に活用し、私たちが発信するまちづくり運動、活動から地域に変化をもたらす起点となるよう、広報活動を展開してまいります。
【創立60周年、友好JC締結40周年から新たな一歩へ】
これまで三原を愛する多くの先輩方が60年もの永きに渡り、営々と築いてこられてきた歴史と伝統ある一般社団法人 三原青年会議所は本年、創立60周年の節目を迎えます。
1962年に三原青年会議所が設立されて以降、多くの人たちの想いを紡いでまいりました。その歴史は実績と人脈、信頼を積み重ね、現在の私たちに確実に受け継がれています。
今日まで三原のまちへ影響を与えてきた団体として活動出来ているのは、これまで多くの運動を展開し、果敢に挑戦し、大きな経験と多くの信頼を積み重ねてきた歴史の賜物です。
この60周年を契機に今一度過去を振り返り、これまでに感謝するとともに、その想いを活かすことでまちへ新たな希望を灯し、未来に向けてしっかりとした一歩を担っていきます。
また、本年は友好JCでもある一般社団法人 浜田青年会議所と友好JC締結40年を迎えます。これまで互いに自分たちのまちについての情報交換や会員同士の交流で友情を育んできましたが、本年はこの40周年を機に、諸先輩により築き上げてこられた道程に感謝をすると同時に、更なる関係性を築き、次代へ繋げられることの出来る交流の輪を広げていきます。
【郷土愛溢れる伝統文化のこれからについて】
生まれ育った地域の伝統・歴史は数え切れないほどある中で、三原として代表とされるのは誰もが楽しめる三原やっさ祭りです。三原青年会議所もこれまで実行委員長や、祭りの中枢を担う専門委員会に会員を輩出して祭りの一翼を担ってまいりました。しかしながら、ここ近年は開催方法や運営の在り方について多くの厳しい状況に直面しています。私たち三原青年会議所から輩出している会員が祭りをどのようにすれば市民の笑顔の輪が広げていけるか、自問自答を繰り返している中、三原青年会議所としてもこれからの三原やっさ祭りとの関わりをどのようにしていくのか、決意を新たにしなければなりません。
本年は第47回目として開催される祭りですが、ここ2年間は新型コロナウイルス感染症により開催出来なかった事を踏まえ、改めて盛大な祭りに発展・継承出来るよう積極的に関わっていくと同時に、三原やっさ祭り本来の姿である持続可能な「市民総参加型」の祭りを創り上げ、三原の夏を彩れるよう活動してまいります。
【結びに】
「我々青年は、あらゆる機会をとらえて互いに団結し自らの修養に努めなければならぬと信ずる」(青年会議所設立趣意書抜粋)
この言葉は私の行動の指針の一つでもあります。振り返ると私のこれまでの13年間の青年会議所活動は決して誇れるものでもなく、様々な経験を積んできたと同時に、成功より多くの失敗や反省を繰り返してきました。しかしながら、私がこの青年会議所で活動を続けてこられてきたのも多くの仲間や先輩方からの叱咤激励があったからこそ、今の私があります。私自身これまでの経験・出会いに感謝しつつ1年間邁進してまいります。
最後に、一般社団法人 三原青年会議所 第61代理事長として、会員それぞれが成長出来る機会を提供し、多くの仲間とともに、まちにひとつでも多くの笑顔を届け、未来を創造する素晴らしい1年になるように活動してまいります。先輩諸兄並びに会員の皆様の暖かいご理解とご支援、そしてご指導ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
基本計画
1.自信と誇り、魅力が満ち溢れる人財の育成
2.地域に寄り添い、笑顔溢れる事業の開催
3.地域発展の原動力となる運動、地域の魅力や青年会議所運動の発信
4.行政機関との未来を見据えた懇話会の開催
5.会員全体で取組む会員拡大の実践
6.未来を見据えた地域伝統文化の継承
7.創立60周年記念事業に関わる事業の開催
8.浜田青年会議所との友好JC締結40周年記念事業の開催