2019年度 一般社団法人 三原青年会議所 理事長所信

Spread Your Wings

~自己成長とまちの希望を実現するために~

第58代理事長 伊達 正峰

このまちに住み暮らし、このまちとともに成長を繰り返し、このまちをもっと良くする。
そんな単純な想いから私は青年会議所活動をしている。
私たちに今できることは何か、常に考えながら挑み続けなければならない。
だからこそ成長の機会となり、私たちは夢を描けるのではないだろうか。
私たちは挑み続ける。自己成長とまちの希望を実現するために。

【はじめに】

 平成30年7月豪雨により目を疑いたくなるような甚大な被害が発生した我がまち三原。気候も温暖で災害とは無縁であるとの声を数多く聞いていましたが、この豪雨災害においてその強みは無くなったに等しいと感じています。
 自然の脅威はとても強烈で考えも及ばなかった範囲にまでその影響を及ぼしました。我がまち三原のこれまで優れていたと言われる環境も改めて対策を考える時期に差し掛かっていると考えるべきです。
 それはまちづくりにおいて特に顕著であり、人口減少や少子高齢化による三原市の経済を観光にシフトしていた情勢を見直すきっかけとなり、インフラの拡充や公共工事など考えも及ばなかった範囲に拡大された投資に繋がると考えます。
 三原のまちづくりに必要とされているのは、まちのために何ができるかを考え、自分たちにできることを明確にし、責任を持って積極的に行動できる人財です。そんな人財へと昇華するにはさらに多くの物事を見聞きし、活動することを通じてさらに多くの人々と関わることが必要です。三原青年会議所という地域密着型の青年経済人が集う団体を通じて、会員はさらなる成長を遂げることができます。決して多くないチャンスを掴み、積極的に行動してゆく姿勢こそ私たちに求められている姿であると考えます。
 このまちの10年後、20年後、30年後の姿を具体的に想像し、力強く活動を進めてまいります。

【このまちに必要とされるのは】

 今から452年前に小早川隆景公は何を想い三原のまちに礎を築いてきたのでしょうか。交通の要として、海上進出へのきっかけとして整備を推し進めたと聞きます。そして年月が経ち、その立地を活かして重化学工業を中心にまちが発展し現在に至ります。
 三原のまちはそこに何かを作りそれに応じて人が集まってきた歴史を持つことから、人が集まりまちが形成されてきたのではなく、何かができてそこに人が集まってきたという事実あります。過去の歴史から三原城が築城してからまちが広がり、重化学企業の進出により人口が増えていった経緯があります。その経緯を踏まえてこのまちをさらに明るく豊かにするためには、局地的な部分改修ではなくトータルバランスを考慮した計画を取り入れることが最も近道であると考えます。しかしながら企業誘致を継続的に行っているにも関わらず、さらなる発展へと結び付けることができない状況にあります。
 まちの将来について改めて考える状況が差し迫っており、その答えを導き出すのは私たち青年世代であると考えます。観光面や誘客面だけでなく青年世代だからこそ考えることができる新たな価値の創造が急務であると考えます。それは何かを三原に誘致する形ではなく、三原のまちから発信される新たな価値・希望を創出することであると考えます。
 限りがあるモノを開拓し続ければいつかは無くなります。そうではなく新たな価値・希望を創出するために青年会議所活動を通じ、社会実験も視野に入れて青年世代にしかできないまちづくり活動を行い、このまちの新たな希望を見つけ出したいと考えます。つまりそれは、価値そのものをデザインするリーダーになると言うことです。
 また、ビジョン 「Direction Toward HAPPINESS ―笑顔への道標―」と現在の三原市を比較検討するとともに、まちづくりに対する視点を改めることで私たちが新しい価値そのものをデザインするリーダーとなり、三原のまちがさらに明るく豊かに動き出すステップへと導いてまいります。
 

【交流から友情に】

 1月に開催するOB・現役新年懇親会は三原青年会議所OB会との唯一の交流事業です。
三原青年会議所を築き上げてこられた特別会員の方々に本年度の三原青年会議所の活動方針や前年度の新入会員を知っていただく機会となります。新年という節目に現役会員一同と顔を合わせ、現役会員の近況報告を行うことで特別会員からの視点で見た将来を比較できる格好のチャンスであると考えます。
 そして友好JCである浜田青年会議所とは毎年交流事業を交互に開催しています。互いの団体とも卒業生と新入会員が入れ替わり、顔見知りの多い交流とは少し異なる状況を維持しています。友好JCを締結してから37年目を迎えても、場所を変え、人を変え、本年度まで交流を継続してまいりました。今後も継続して交流が行えるように新たな交流の手法を比較検討するとともに、より友情が深まるようにその在り方に変化を持たせてまいります。
 また、家族例会においては会員と家族が青年会議所を通じて交流する唯一の機会でもあります。過去には先進地見学と兼ねてテーマパークやキャンプ場、各都市を家族同行で調査していました。近年では時間や日程などの都合で宿泊を伴う交流は実施しておりませんが、引き続き会員と家族との交流をさらに深めるためにも、新しい形の交流を実施検討するべきだと考えます。
 交流を重ねるごとに青年会議所活動の新しい視点が生まれ、活動に対する理解がさらに深まることを期待しています。
 

【縦横無尽に会員の輪を拡大する】

 異業種の人が集い互いに切磋琢磨でき地域の未来について語り合うことができる団体として青年会議所はこの上ない存在だと考えます。青年期に成長や発展のきっかけを与える青年会議所の活動は、地域社会へ長きに渡って影響を与えます。会員を拡大することは未来の地域社会に対する準備であると私自身は考えます。三原市内においても青年会議所の名前を知らない人は数多く存在しており、改めて私たちを知ってもらうためにも会員拡大活動は継続して取り組む必要のある事業です。青年会議所が素晴らしいと賞賛されるべく若き人財を拡大し、青年会議所のネットワークに乗せて縦横無尽に活躍する場を提供することができれば、三原のみならず日本をもさらに良く変えるきっかけを創ることができると考えます。
 そして、現役会員に対しても新たな成長・発展の機会を創出するためにJCIの持つネットワークや知識、その手法を取り入れることはとても有効的であり、他LOMからの事例や情報を取り入れることは、会員の自己啓発や人を巻き込み動かす力をさらに高める良い機会であると考えます。また、会員個人や組織としての能力や資質をさらに向上させるために専門能力を有する外部講師等による講演も視野に入れ事業を計画してまいります。
 

【青年世代の視点をまちに伝える】

 私たちが報道機関に求めている情報は何でしょうか。報道とは注文があり調査して報告するわけではなく、その日の出来事・事件・事故などを取材し、記事・番組・本などを作成して広く公表・伝達することであり、言論活動の一つでもあります。
 三原青年会議所には「やっさもっさ新聞」・「やっさもっさチャンネル」・「SNS」・「ホームページ」が情報発信媒体として存在しており、地域における情報や活動を伝達するためのツールとして活用を続けています。
 伝えたい情報をいつ、どこで、誰に、何を、なぜ、どのようにと明確な基準を持って伝えなければなりません。また、情報を得る側も年代、性別、地域性などを考慮した発信をする必要があります。特に本年度は、他地域での広報事例や世代間別の情報発信手法を検討し、新たな広報ツールを模索してまいります。
 そして、三原青年会議所の広報機関が社会活動を専門に取り上げる地域の代表的な報道機関となることができれば、地域社会活動促進に結び付くと考えます。
 

【災害と向き合う姿勢】

 平成30年7月豪雨は我がまちに大きな被害を与えました。豪雨による土砂災害・河川の氾濫は治水が継続的に進められてきた昨今では、その危険を感じる場面も少なく災害に強い地域であるといった自信に変わっていました。この災害を契機に改めて災害に強い地域づくりを始める必要があると考えます。
 豪雨だけでなく地震、津波などの自然災害に可能な限り耐えることができる三原の在り方を模索し、調査研究を進めてまいります。
 また、情報伝達が遮断された状態で災害を生き抜くために必要なのは地域コミュニティの存在であると考えます。改めて地域コミュニティの重要性を発信し、次の災害に備えるためには何が必要なのかを考え市民の皆様に伝えてまいります。
 私たちが目指すものは災害への備えを明確にし、被災しても早期復旧できる仕組みを考えることです。地域発展と同時に災害に対する備えを充実させるためにも、具体的なイメージを持って取り組んでまいります。
 

【子育て世代に】

 少子高齢化が進むのと同時に保育施設の入所措置人員が児童定数を上回る状態が続いていますが、ここには大きな疑問点が浮かびます。子どもの数は減っているのに希望する保育所に入れない子どもは増えている現状を考えると大きな矛盾になります。この原因には核家族化の進行や共働き世代の増加と若年層の低所得化が挙げられます。その様な状況でも子育て世代を活気付けるには三原のまちが子育て世代にとって充実していると思えることが必要であり、多種多様な生活スタイルが存在する現代において重要視されるのは生活の満足度であると考えます。
 格差社会と言われる現代において所得の格差は拡大し、生活の満足度は上がらず市民の社会参加は少なくなり社会的な繋がりは希薄化することになります。
 三原に住み暮らす子育て世代にとって何が問題なのか、何を求めているか、どうすればさらに良くなるかを調査研究し、生活の満足度向上に結び付ける活動を進めてまいります。
また、少子化による人口減少を起点とする今後起こりうる問題についても調査研究を行い、現制度から変化を加えた子育て世代の満足度向上に繋がる事業も企画立案してまいります。
 

【教育の在り方とは】

 人が生きてゆくために必要とされる力の一つに「考える」ことが挙げられます。この考える行動こそ人の資質や人柄が伺える指標になると考えます。
 子どもたちに三原らしい考え方を持ってもらうためには三原の地域性が活きた歴史や文化を知ることが必要であり、三原の素晴らしさを知ることで三原の未来を考えてもらうきっかけに結びつき、三原の未来を具体的に考えてもらえる子どもの育成に繋がります。
 そのために三原の各地域に眠る文化や歴史を知るきっかけを創出し、それらを題材に新たな地域の自負心を持ち、考える行動に至るまでの過程でその知識が発揮できるよう調査研究を行い、地域性豊かな教育の場を提供できるよう邁進してまいります。
 また、世界にはSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」という2015年9月の国連サミットで採択された国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標があります。これを三原のまちに置き換えて考えることで私たちに新たな視点をもたらせてくれます。異文化を有する世界の子どもたちと三原の子どもたちが同じ目標を持ち、考えて行動することで世界との共存を知るきっかけになると考えます。
 三原の未来を担う子どもたちに様々な体験を通じて、将来の三原を構築してもらえる行動に結びつくよう事業を展開してまいります。
 

【会員として求められる姿に】

 三原青年会議所では入会3年未満の会員が約半数を占める割合となっています。青年会議所会員は会議のプロであり、私たちにとって各種会議は重要な意味と役割を持っていま
す。正確にスマートに会議進行を行うとともに、会議運営の在り方を改めて会員とともに学んでまいります。
 

【三原やっさ祭りの将来を見据えて】

 今年で第44回を迎える三原やっさ祭りは設立当初より三原青年会議所から実行委員長を輩出し、祭りの成長へと結び付くよう協同した活動を繰り返しながら積極的に関わってまいりました。さらに活気溢れる祭りへと展開してゆくためには、新たな参加者を三原やっさ祭りに導く必要があると考えます。
 特に今年からは駅前市民広場の整備が始まり、踊りコースの変更が必要となります。三原青年会議所としてもコース変更後のイメージを具体的に持ち、新たな参加者の創出に結び付けると同時に三原やっさ祭り全体を通じて三原青年会議所としてより深く関わってゆきます。
 三原青年会議所と三原やっさ祭りは緊密な関係をこれまで築いてまいりました。三原やっさ祭りの開催趣旨をより深く理解するとともに、日本でも有数の祭りへと結び付けてまいります。
 

【広島ブロックアカデミーの開催に向けて】

 2019年は三原で広島ブロックアカデミーが開催されます。広島ブロックアカデミーは県内12LOMの新入会員や仮入会員が集い、青年会議所会員としての知識や経験、友情を深める場として主管LOMを基軸に毎年開催されてきました。
 各LOMの活動はメンバーの成長の場として最適ではありますが、LOMで活動するだけでは得られない知識や経験があります。特に初対面の同年代が集い一つの物事に取り組む環境は現代において非常に稀であり、かけがえのない財産になると考えます。
 より多くの会員にご参加頂けるよう、積極的に活動を進め、学びの環境を整えてまいります。
 

【終わりに】

 青年会議所活動は本人が向き合う力に比例してその本人を成長させます。それは本人が気づかない程度の微々たる変化であり、周りの視点からも容易に気づくことができないかもしれません。しかしその変化は時として成功曲線の様に突出した変化へと結びつくことになります。私自身、その変化に気付くことは無く変わったと言われて気づくほどでした。未だに迷った時は改めて考え直します。何のために、誰のために、何を目的にと。
 余った時間で青年会議所活動をしているのではなく、全力で取り組む姿勢を青年期に見出せなければ、その力は眠ったままになってしまいます。私たちはいつまでも青年のままでいることはできません。
 会員個人の本業や得意分野を集結し、個人個人では出せない力を発揮することによって、まだ見ぬ力を発揮できることを切に願うとともに全力でJC運動に向き合ってまいります。
 これまで先輩諸兄が三原のまちを明るく豊かにするという活動を続けてこられた56年もの歴史を有する一般社団法人三原青年会議所 第58代理事長として一意奮闘してまいる所存です。
先輩諸兄並びに会員の温かいご理解とご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げるとともにご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。